これは私のキーホルダー。阿寒湖温泉で出会ったカムイニポポ。
両面木彫で、エカシ&メノコの二つの顔を持つ。

アイヌ語を直訳すると、カムイ=神 ニ=木 ポポ=小さなもの 、「神の木の子ども人形」みたいな意味になる。
手のひらサイズの両面木彫で、災いから身を守り、時に身代わりになってくれる御守りのようなものとされている。
観光客向けに作られたと思うが、人を惹きつける不思議な力を持っている。
店に並ぶたくさんのカムイニポポは、一つ一つ表情が違う。
どれも個性豊かで、背中合わせのエカシとメノコの役割分担も一つ一つ違う気がする。
私はたまたま、このニポポに不思議な縁を感じた。
目が合った瞬間、このニポポは私の全てを許容してくれている気がしたのだ。
エカシは、
「いいふりこいたり強がったりしなくていいから、お前は地道に使命を果たせ。」
と言っていて、
メノコは、
「間違いもあるだろうけど、たいしたことないさ。あんたのことは私もまあまあ好きだよ。」
みたいなことを言ってくれている。
なので、ずっとこのニポポと一緒にいたいと思い、私も自己紹介することにした。

ク レヘ アナクネ ユタカ ネ(ク=私 レヘ=名前 アナクネ=~は ユタカ=裕 ネ=である)
私もニポポを信頼している。外出時には欠かさず、ズボンの左ポケットにいてもらっている。
どうしたらいいかわからない時、さりげなく左のポケットに手を突っ込んでニポポに語りかける。
指先に少し触れるだけで、なんとも言えない安心感がある。
アイヌ民族は憑き神のことをトゥレンカムイと言うが、私のトゥレンカムイがこのニポポと会話しているように感じることもある。
ニポポと出会ってから6年くらい経っただろうか。
ニポポは時間とともに味わい深く変色している。
語りかけながら握ることを繰り返してきたためか、手触りの感も変わってきた。表面がより滑らかになってきている。
ニポポは私と一緒に年を取っていると思う。
私はアイヌ民族に伝わる祈りの儀式「カムイノミ」のことをもっと知りたいと思っている。
マニアックな知識が欲しいわけではない。私も全力で祈りたいのだ。
私は万物に魂が宿っていると思っている。
誰かに教えられたとか、どちらかと言えばそう信じているとかではなく、幼い頃からそう感じているのだ。
常にたくさんの魂に囲まれて生きている気がしていて、
自分の中にある、感謝の気持ちやら何やらをどうしたらいいものかずっと考えている。
とりあえず今日もニポポと一緒に、感謝し祈っている。