毒親に育てられた兄弟は関係が疎遠になりやすいと思うが、どうだろう。

毒親に育てられた子どもたちは、一般に自己肯定感が低いため自己承認欲求が強くなりやすい。

だから、兄弟間で親の取り合いをしたり、とにかくやっかみが激しくなり、不穏な関係になりやすい。

幼少期からの満たされない思いは、大人になってからも解消されることがなく、

顔を合わせるだけで、無意識にスイッチが入り、つい戦闘体勢になってしまう。

両方とも凶暴になることもあれば、

噛みつく方と噛みつかれる方に分かれることもある。

両者は傍目には違って見えるかもしれないが、根本的に抱えているものは同じだ。

とにかく、

お互いのことを考えるだけで心が休まらないので、どちらからともなく距離をおくことになりやすい。

仕方ない。誰も悪くない。

一緒にいても心が落ち着かず、苦しい思いにしかならないのであれば、

好きか嫌いかと言えば、正直なところ嫌いになってしまう。

とても大切な存在であり、幸せでいて欲しいのだが、会いたくないし、思い出したくもない。

これが本音ではないか。

薄情だと言う人もいるだろうが、私はそうは思わない。

会わない、思い出さないということも、今その人ができる限りの最大限の愛の形だと思う。

私は、こうしたことを一つの現象としてとらえているだけで、

いいとも悪いとも思わない。

温かな愛に包まれて育ち、仲の良い兄弟がいる一方で、

毒親に育てられて遠回りしたけど、自分自身と徹底的に向き合い、自分の手で幸せをつかみ取ろうと生きる人がいる。

どちらがよいとか悪いとかじゃないと思う。

どちらも幸せに生きることができる。

児童相談所で仕事をしていた時、子どもたちを見ながらそんなことを考えていたのを思い出した。