「生きることは苦である」とお釈迦さまは説いたと言われている。

だが、この言葉を文字どおりに受けとめるにしても、その受けとめ方しだいでその人の生き方は大きく変わってくるのではないだろうか。

「苦」をどう解釈するかによって変わる。と私は思う。

苦は苦しみ以外の何物でもないと考える人もいれば、

この世に人間として生まれてきたこと自体を丸儲けと考え、

楽しいことや嬉しいこと、心地好いことだけでなく、辛い、悲しい、苦しいなど、人としての負の感情を味わえることにも感謝し、トータルで喜べる人もいる。

私自身は後者でありたい。

辛いこと、苦しいことに翻弄されそうになることは私にもあるが、

人間としての生を受けた以上は、この心と体を目いっぱい使い、色んなことを味わい、最後の瞬間まで人生を全うしたいと思っている。

人としての感情の荒波に揺さぶられながらも、自身を取り囲む無数の精霊たちと調和しながら、心豊かな時間を重ねていきたい。

人生を全うするということは、負の感情に支配されることではないと私は思っている。

4年前、当時19歳の二女を亡くした時、私はかつて経験したことのない苦しみを感じていた。

だが、今の二女は宇宙そのものであるような気がしている。

二女は私とも溶け合い、いつも一緒にいると思っている。

娘に先立たれるのは辛い。今も辛い。だが、それ以上の喜びを感じてもいる。

負の感情を上回る何かを見つけながら、小さな喜びとともに淡々と歩き続ける。

人生とはそういうものではないかと私は思っている。