〇北海道の木々にもこれから様々な花が咲き始める。
・木のことを「二」、あるいは、「チクニ」と言う。チクニには薪の意味もある。
・太い木のことを、ルウェチクニ(ルウェ=太い チクニ=木)と言う。細い木は、アネチクニ(アネ=細い チクニ=木)。
・林や森のことを「ニタイ」と言う。鬱蒼とした密林、森のことをイロンネニタイ(イロンネ=たくさん ニタイ=林)と言う。
・岩見沢の木はコブシ。コブシのことをオマクシニ(オ=尻 マウ=風、吐息 クシ=通る ニ=木)、オプケニ(オプケ=おなら ニ=木)などと呼ぶ。
〇森にまつわる言い伝え
・伝説などによく出てくるケナシウナラペ(ケナシ=背の低い木々の林 ウナラペ=おばさん)は、森の中にいると言われている妖怪。ウナラペは中年以降の女性を指す。おばあさんのことをフチと呼ぶが、年を取れば誰でもフチと呼ばれるわけではない。尊敬される女性でなければ、いくら年を取ってもフチとは呼ばれない。男性も同じ。おじいさんのことをエカシと呼ぶが、そこには尊敬の気持ちが込められている。ウエンパコと言う悪い言葉がある。意味は、ウエン=悪い パコ=ババアで、糞ババア。
〇畑の準備の季節
・土のことをトイと言う。土の神様はトイコロカムイ。
・地面のことをトイカ(トイ=土 カ=上)、またはシリカ(シリ=大地 カ=上)と言う。
・土を耕すことをトイタ(トイ=土 タ=耕す)と言う。「タ」は、よく使われ、幅広い意味を持っている。例えば、ワッカタ(ワッカ=水 タ=汲み取る)。
〇鳥の話
・ツバメは北海道ではあまり見かけないが、ルヤンペチカプ、またはノクヤプと言う。
・キツツキのことをチプタチカプ(チプ=舟 タ=作る チカプ=鳥)と言う。この「タ」は、作るという意味になる。
・渡り鳥の雁のことをクイトプと言う。渡り鳥が列を成して飛行する姿をチカプサイ(チカプ=鳥 サイ=連なる)と言う。タマサイのサイも連なると言う意味からきている。
〇山菜の話
・行者ニンニクのことを、キト、キトピロ、プクサなどと呼ぶ。道東や道北を中心にキトが一般的。プクサは苫小牧や室蘭方面で使われている。
・ウドのことをチマキナ(チ=私たち マ=調理する キナ=草)と言う。「マ」は主に「焼く」という意味。焼き魚のことをアマチェプ(ア=私たち マ=焼く チェプ=魚)と言う。
「行者ニンニクのことを、キト、キトピロ、プクサなどと呼ぶ。道東や道北を中心にキトが一般的。プクサは苫小牧や室蘭方面で使われている。」とありますが、
kitoは、北海道北東部。pukusaは、長万部、虻田、有珠、登別、白老、穂別、鵡川、沙流方言です。「キトが一般的」は疑問です。
他に美幌では、muksaです。
「ツバメは北海道ではあまり見かけないが、ルヤンペチカプ、またはノクヤプと言う。」とあります。
ツバメは、toytumum-cikax,topempira,suy-orun,ruyampe-ciri,pes-toriyanka,nokyak,ruyanpe-cikap,wakka-tuytuy等の単語があります。
アイヌ語は、とても単語が豊富です。
他については、ご自分でお調べください。
アイヌ語の素晴らしい世界を堪能してください。
コメントありがとうございます。最近、あちこちでアイヌ語、文化への関心が高まってきていると思いますが、一般に独学は簡単なことではなく、こうした初心者向けの勉強会はとても貴重で、もっと身近なところにあればと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。学問としての理論上の正確さや奥深さを追求していくことはとても大事なことですが、裾野を広げていくためにも、まずは入りやすさが求められていると思うので、その意味で、少しでも関心を持っている人にとって響きやすい話題提供のつもりで、私はこのブログを使ったりしています。よりコアな世界にも私なりに関心があり、実際に触れてきているところですが、そこは敢えてここでは出さないようにしています。ですが、こうしたコメントはとても楽しく有意義であり、感謝いたします。ありがとうございます。
ご返事を拝読し、中川 裕氏の「アイヌ語のむこうに広がる世界」を再読しました。
言語復興活動についての中川氏の考えを再確認しました。
昔、これを読んだときは希望が持てたのですが。
十年経っても、あまり変わらないのですね。
「ゆたかなおなか」氏が、アイヌ語に関心を持っても、環境として岩見沢アイヌ語教室しかない現状は残念です。
札幌大学に、連絡はつかないのでしょうか。
私がこのブログに書いていることは非常に限定的です。
少しだけ書いてみますが、うちは家族で道東の某アイヌ文化保存会に所属しており、定期的に開催されている勉強会や儀式等を通して普段の生活に直結した実践的な学びを重ねています。息子はアイヌ民族ではありませんが、現在ウレシパクラブに所属しており、私も本田先生と何度かお話させていただきました。その他にも旭川、阿寒、日高、胆振などのアイヌ民族の文化伝承者の方々などと交流させていただいています。言葉や文化の解釈、認識の仕方はそれぞれであり、どれも興味深く受けとめています。杉山先生の教室では、参加者の目線に立った、親しみやすく楽しみながらの学びを展開しているので、このブログではその辺りを紹介させていただいております。