先月の次女の七回忌、私たち家族の不在中に一人の訪問者がいた。

置手紙に書かれた名前には記憶がある。

二女の同級生、今年で25歳になる男性。

彼は一周忌と三回忌にもうちに来てくれていたのだが、

連絡先がわからず、きちんとお礼ができないでいた。

それにしても驚いた。

年数が経てば、親戚でも命日がいつだったか記憶が曖昧になったりするものだが、

彼は覚えていてくれただけでなく、わざわざ東京から来てくれたのだ。

「彼にお礼を言いたい。このまま放置することはできない。」

私と妻は次女と彼の通っていた高校で事情を話し、

当時の担任の先生を通じて彼の実家の住所を教えていただいた。

連絡先がわかってからも実際にどうするかしばらく迷っていたが、

思い切って彼の実家を訪問した。

そして、応対してくれた彼の弟さんに経過を話し、彼宛の手紙を託してきた。

数日後、見知らぬ番号からの着信があったのでかけ直してみると「彼」であった。

仕事中だったので頭を切り替えるのに苦労したが、

落ち着いた声を聞いた瞬間、涙が出るくらい嬉しくなった。

彼は今も東京で生活していて、年に数度実家に帰ってくるという。

来年1月下旬にも帰省されるとのことで、

「忙しいとは思うが、是非会ってお話したい。」と私たちの思いを伝えると、快く約束してくれた。

次女の遺影の前で彼の話を聞いてみたい。

二女はオープンな性格で何でも話してくれたが、高校生にもなれば知らないことの方が多い。

こうして年数が経ってから、その一部を垣間見ることができるのもなんだか二女らしい。

彼と会うのが楽しみである。