公務員は原則的に副業が禁じられている。

何故公務員の副業が禁止されているかと言うと、

公務員には「公共の利益に資する」という絶対的な目的があり、

公務員がその役割に専念する環境を維持する必要があるからに他ならない。

たしかに、

公務員が勤務時間中に職務とは関係のないことに熱を上げてしまうのはまずい。

だが、それは逆に言うと、

職務に専念してもらえさえいれば、常識的なルールの中で他に何をしてもいいということだ。

個人の自由を奪うために副業が禁止されているのではない。

公務員も、公務員である前に一人の国民なのであり、

憲法で保障されている権利は、誰であれ等しく守られなければならない。

まして公務員は、「憲法を尊重し、擁護する義務」を負っているのであり、

公務員自ら、憲法で保障されている権利や自由を放棄するようなことは許されない。

だから、本来は、

地域における社会活動、被災地支援、各ボランティア活動などに公務員も積極的に参画し、

これまでに積み重ねてきた経験、知識を、社会の中でもっと生かしていくべきだと思う。

だが現実はそうなっていない。

公務員が何か活動していると、

それが営利目的ではなくても、「副業している。」などと陰口を叩かれたり、

町内会でちょっと意見を口にしただけで「政治的に偏っている。」とレッテル貼りをされる可能性がある。

そうしたことを嫌がる行政組織は、

所属する職員を、あの手この手で縛ろうとしてきた。

組織として、政治集会やボランティア活動への参加を禁じることはできないが、現実には様々な圧力がかけられ、

事実上、公務員は自由な行動ができなくなってしまっている。

大半の公務員はこの現状にあきらめてしまっているが、

個々のそうした態度は憲法の精神に反している。

と、私は思う。

個人レベルでは「おかしい。」と思いながらも、

全体の雰囲気に流されてしまっているのはいかにも日本的だが、

これからはこうした公務員や社会の体質も変えていかねばならない。

今まではともかく、変わらなければこれから先は立ち行かない。

人生100年時代が間近に迫る中、

退職まで一切の副業ができないというのは恐怖でしかない。

「公務員なら、やりたいことがあるなら退職してからやれ。」などと言われてきたが、

65や70になってからできることはかなり限られてくる。

気力も体力も充実している若いうちから、ある程度始めておかないと、これからの時代を乗り切れないのは火を見るより明らかだ。

当然の流れとして、

近年、副業ができないことを理由に辞める公務員が増えている。

若くて有望な公務員ほど早くに辞めていく。

このままではこの国は機能しなくなってしまう。

こうした現状を踏まえ、私が現職の公務員に勧めたいのが株式投資である。

今はネットで簡単に証券口座を作れるし、少額でも投資ができる。

夜間や休日でも取引注文できるから、

勤務時間は公務員としての職務に専念できる。

株式投資を始めると、

世界の政治経済の動きを感じ取れるようになり、

いつどこにどんなビジネスチャンスがあるのか、自分で気づけるようになる。

公務員として働いていようがいまいが、逞しく生きていく力が身につく。

投資して一定のリスクを負うことにより、資産を増やすことが期待できるわけだが、

儲けたとか、損したとか、

株価の上下動は副次的な現象に過ぎず、そんなことはさほど重要なことではないと思う。

投資をしなくても勉強はできるが、

少額でも投資し、体感した方が断然いい。

実際に体感すると経験値が上がり、思考力も培われる。

「投資は怖い。」という人が少なくないが、

預貯金はおろか現金にもかなりのリスクがあることをすぐに知るべきだ。

貨幣価値は常に一定ではない。

今は、投資をしないことによるリスクについても考慮しなければいけない時代である。

投資をするもしないも個人の自由だが、

不勉強なままでは、社会人としての最低限必要なスキルを獲得できないままで終わる可能性が高い。

今、公務員であるなら、

公務員としての使命、公共の利益に資するために、

これからの時代に最低限必要な知識とスキルを身につける必要があるのではないか。

その意味で投資から目を逸らすことはできないと思う。

株式投資は不動産のように初期投資が大きくなく、

それこそ毎月100円から自動積み立てで投資ができる。

手間がかからないし、

リスクが気になるなら、

まずは月100円でも、1000円でもいいから、負担にならない金額でとりあえず始めてみたらいいと思う。

慣れてきて、自分の適性を見極めてから少しずつ増やせばいい。

株式の個別銘柄は突然倒産したりするとゼロになるリスクがあるが、

インデックス投資で指数買いをすることもできる。

指数とはNYダウとか、日経平均とか、ニュースによく出てくるアレである。

例えば日経225であれば、日本の代表的な225社に、

米国のS&P500であれば、米国の代表的な500社に分散して投資できる。

新興国、先進国、全世界に投資をすることもできる。

もちろん株価は上下するが、

市場の規模は人口動態にほぼ連動する。

実際、これまでの歴史を振り返ってみても、人口の増加とともに市場も大きくなってきた。

自然災害や戦争などで短期的な凸凹はあるが、

5年、悪くても10年以上経てば、どこを切り取っても資産が増えていることが高い確率で期待できる。

今までとこれからは必ずしも同じではないが、

今の世界のシステムが、グローバルな資本主義経済である以上、

個々人としても、このシステムの中で生き抜いていく術を身につけておく必要があると思う。

インフラが整備されている今は、労働の価値が相対的に低下し、資本収益を獲得する必要性が高くなっている。

これからは会社も国も自治体も個人を守ってはくれない。

世界の政治経済の動向を敏感に感じとり、リアルタイムでビジネスチャンスをつかみとっていく、

公務員であってもこれからはこうした力が求められてくる。

「投資は邪道であり博打。やるべきではない。」

こうしたイメージに囚われている人が少なくないが、

少子高齢化が進み、労働市場が先細る国内において、

投資は、社会参加の一つのあり方であることを明確に意識すべきである。

年を取り、知力や体力を労働力として提供できなくなっても、資本参加することによっても、社会貢献が可能なのだ。

投資は個人的な金儲けの手段だけに留まらず、本来、非常に社会的な行為なのだ。

国内には2000兆円を超える現金預金が眠っていると言われているが、

仮に、この1割が国内市場に流れるだけでも、

国内経済のムードはかなり変わることになる。

コロナ禍が続く中にあっても業績好調な企業はたくさんあり、

それらが正当に評価され、資本が増えれば、

閉塞感に包まれている国内においてさまざまな可能性が広がると思う。

また、投資できるのはお金だけでない。

誰であれ、地域社会における課題に取り組むために時間や労力を差し出すことがあると思う。

私はそうしたこともすべて投資だと思う。

これからは公務員自らが、

公共の利益のために、

時間、労力、資本をフル稼働させ、積極的に投資行動をとっていくべきであり、

それによって社会のムードが明るく変わっていくと思っている。