私は2020年3月末に27年間勤めてきた某地方自治体を早期退職した。

気がつけばもう50歳を過ぎ、子どもたちもそれぞれ自立している。

このタイミングで自分の人生を始めようと思い、スパッと決断した。

そう。私は、公務員でいる間、自分の人生を生きてこなかったのだ。

一言で言うと、とにかく不自由な27年間であった。

公務員としての「立場」に縛られ、

勤務時間外であってもその行動は著しく制限され、

思ったことを自由に発言することさえままならない。

私は(たぶん)ごく普通の人間である。

少なくとも過激な思想の持ち主ではないし、

自由になったところで、非常識だったり、危険なことをおっ始めることもない。

だが、

ボランティア活動をしようとしても、

「公務員が副業していると思われるから止めておけ。」とか、

身内が選挙に出ているから会いに行こうとしても、

「公務員が政治的に偏った活動をしていると思われるからどこにも行くな。」とか、

挙げ始めると枚挙に暇がない。

「たかがそれくらいのこと、安定した地位と給料が保障されているのだから、おとなしく従っておけ。」と言ってくる人もたくさんいる。

個人的にはどんなに辛いことであっても、我慢しようと思えばいくらでも我慢できる。

実際27年間そうしてきた。

だが、私の人生の時間にも限りがある。

私にもやりたいことがある。

理不尽なことや不自由な事態を飲み込むことはできても、

立場や諸々の事情に縛られ、最後まで自分のやりたいことができなくなってしまうのは困るのだ。

もちろん簡単ではないだろう。

「好きなことだけして生きていけるほど甘くないぞ。」とも言われてきた。

だが、「公務員で居続ければ安泰。」というのも、もはや幻想である。

これからの公務員は、仕事は増えるが人員は減らされ、給料も退職金も減るしかない。

人生100年時代と言われる中、

思うように副業できない公務員が、なんのスキルも持たずに定年退職を迎えるのは恐怖でしかない。

私に言わせれば、

「公務員と言うだけで生きていけるほど甘くはない。」と思っている。

この国は、なんでも難しく考え過ぎているところがある。

やりたいことがあるなら後回しにせず、すぐに始めるべきだ。

挑戦を始めると色んなことが起きるが、一つ一つ乗り越えていくことで成長できる。

公務員を早期退職してから1年10カ月になるが、

好きなことをしながらどうにか楽しく生活できている。

コロナ禍で元々やろうとしていたことはまったくできていないが、

思っていた以上に視野が広がり、そこらじゅうにチャンスが転がっていて、

とにかく楽しい。

ありがたいことに今は、就労支援事業所のスタッフとしての役割を与えられ、

北海道ベースボールリーグなどの運営に携わっている。

アイヌ語勉強会を立ち上げ、

その他にも様々な地域の活動に参加している。

そのほとんどは無償なので、

動けば動くほど経費がかかっているが、

株式等の資産を運用していくことにより、

今のところは活動資金を確保することができている。

厳しい中でも、厳しいからこそ、

いかに自分らしく生きるかを追求するのであり、

始めてみれば、やり方はいくらでもある。

組織に縛られたままでは、永遠にわからないままだったと思う。

これからとんでもない苦労が待ち受けているかもしれないが、

それがどんなことであれ、楽しみでしかない。