暑くなり虫が増えてきた。
アイヌ語で虫のことを「キキリ」と言う。
キキリは虫の総称と言われているが、主に羽虫を指しているという説も聞いたことがある。
毛虫のことをヌマウシイコンパプ(ヌマ=毛、ウシ=たくさんある、イ=それ、コンパ=折り曲げる、プ=もの)、単にイコンパプとも言う。
ヌマウシは毛深いの意で、イコンパプは体を折り曲げて進む尺取り虫のイメージ。
アリのことをイトゥンナプ(イ=それ、トゥンナ=2人、プ=もの)と言うが意味は不明。
ハチはソヤ、ハエはムシ、アブはシラゥ。ムシの語源は日本語と同じかもしれない。白老の地名由来は「シラゥ=アブ、オ=多い、イ=ところ」からが有力。
蚊はエトゥタンネ(エトゥ=突き出たもの、タンネ=長い)、蜘蛛はヤオシケプカムイ(ヤ=網、オシケ=編む、プ=もの、カムイ=神)、セミはヤキ。
蛍はニンニンケッポ(ニン=減る、ニン=減る、ケッ=苦しむ、ポ=小さなもの)。暗闇で点滅することから「息も絶え絶えのちいさなもの」の意味。
蝶はマレウレウが有名だが、本来はヘポラプが主流と思われる。羽根をバタつかせることを「ヘポラポラ」と言う。
蝶と蛾を区別して、蝶をトカプヘポラプ(トカプ=昼、ヘポラプ=蝶)、蛾をクンネヘポラプ(クンネ=夜、ヘポラプ=蝶)とも言う。
蛾のことはアペエトゥンペ(アペ=火、エトゥン=?、ペ=もの)やスネコカリプ(スネ=松明、コ=〜に向かって、カリ=回る、プ=物)とも言う。クルクル回りながら火に飛び込むためと思われる。
クワガタやカブトムシのことをイクパキキリ(イ=それ、クパ=かじる、キキリ=虫)、チクパプ(チ=我ら、クパ=かじる、プ=もの)などと言う。カブトムシはかじらないがそう呼ばれている。
バッタはバッタキ、ミミズはトゥニン、セミはヤキ。
トンボはハンクチョッチャ(ハンク=へそ、チョッチャ=突っつく)、
以下は虫と言うより小動物。
カエルはオオアッ、テレケイペ(テレケ=跳ねる、イペ=食べる)。
ヘビはタンネカムイ(タンネ=長い、カムイ=神)、マムシはトッコニ、トカゲはアラム。