昨日は三笠ジオパーク推進協議会主催の「ジオカフェ」に参加してきた。

温かい飲み物をいただきながら、気楽に三笠の歴史を学び合おうという楽しい企画。

今回の話題の中心は、

三笠の名物、大人気スイーツ、

長栄堂稲葉菓子舗のココナッツロール。

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私がこのココナッツロールに最初に出会ったのは、今から27年ほど前。

三笠生まれの妻が子どもの頃からの大好物であると言うので2人で買いに行った。

その時以来、うちは家族全員ココナッツロールの大ファンである。

このココナッツロールを作っている、三笠の老舗菓子店「長栄堂稲葉」の店主ご夫妻がカフェに来てくれた。

奥様のじゅんこさんと、ご主人のひろしさん。

1930年(昭和5年)、炭鉱で栄える三笠幌内の市街地にじゅんこさんの祖父が和菓子店を始める。

蒸し饅頭、落雁、餅菓子、煎餅など和菓子の製造販売を始めるが、

太平洋戦争に突入すると砂糖の調達ができなくなり、満足にお菓子作りのできない時期が長く続いたと言う。

戦後は和菓子だけでなく洋菓子の新商品を次々と開発し、またたく間に坑夫やその家族の人気を集めるが、

1962年(昭和37年)の石油自由化をきっかけに石炭需要が激減。

石炭の減産で山を離れる人が増える中、1968年(昭和43年)に店舗を三笠市中心部の幸町(現在地)に移転し、現在に至っているとのこと。

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繰り返すが、

三笠のスイーツと言えば、

稲葉さんのココナッツロール。

先代が開発し、ご夫妻が一つ一つ心を込めて手作りしている超人気スイーツ。

その名は、三笠市内や岩見沢にとどまらず、札幌を中心に全道にたくさんのファンがいる。

フワフワのスポンジケーキに、

昔懐かしいバタークリームを厚く塗り込み、

そこにココナッツをたっぷりまぶす。

香ばしいココナッツとバタークリームの甘さの掛け合いが絶妙で、食べた者を一瞬にして虜にする。

手作りのため、一日に作れる数は限られている。

ご主人、奥さん、パートさんがスポンジケーキ作り、バタークリーム塗り、ココナッツまぶしなどを手分けしてして作業を進めているが、

スポンジケーキを一度に焼けるのは150個で約3時間かかる。

半生の状態で調達するココナッツの扱いにも注意を必要としており、

ココナッツロール以外にもたくさんのお菓子を作っている。

毎日3時に起床し、暗いうちから作業しているが、

どんなに頑張ってもココナッツロールは1日2サイクル、つまり300個作るのが限界とのことであった。

あまりにも人気がありすぎて、盆正月だけでなく土日休日でもお昼くらいに売り切れてしまうこともある。

私などは買いそびれてしまうたびに「もっとたくさん作ればいいのに〜!」などと思っていたが、

お話を聞いているうちに、なんだか涙が零れ落ちそうになった。

温かいコーヒーと、いつにも増して美味しいココナッツロール。

ご夫妻の深い愛に感謝し、地域のみんなで大切にしたいと思う。