日本においてコロナワクチンの接種がなかなか始まらないのは何故か。

データが少ないことなどが報道され、あたかも慎重な対応を取っているかのように受けとめられているが、

政府が最初からその気であればもっと早めにデータを集めていたはずであり、

それをしていないということは、

他に理由があると考えるのが自然である。

ワクチン接種で期待できる効果はどのようなものか。

まず、国や地域によって感染率にかなりのバラツキがあることを踏まえておく必要がある。

100万人当たりの国別感染者数(2021年1月25日現在)は次のとおり。

  • 世界平均   12,792人(1.27%)
  • アメリカ   76,413人(7.64%)
  • イギリス   54,210人(5.42%)
  • フランス   47,743人(4.77%)
  • ブラジル   41,736人(4.17%)
  • アルゼンチン 41,481人(4.14%)
  • ロシア    25,341人(2.53%)
  • 南アフリカ  23,901人(2.39%)
  • インド     7,736人(0.77%)
  • インドネシア  3,653人(0.36%)
  • 韓国       1,479人(0.14%)
  • 中国       69人(0.00%)
  • 日本      2,951人(0.29%)

世界の感染者数は1億人を突破し、深刻なパンデミックであることに違いはないが、

割合としては、世界総人口の1.27%。

この数字をどう受けとめるかは、一言では表現できないが、

「意外と少ない。」と感じる人も多いと思う。

その中でも、アジアの感染率は世界平均を大きく下回っている。

インドやインドネシアではかなり感染が広がっているイメージだが、実は人口の1%にも達していない。

日本国内の感染者数は、372,333人(2021年1月26日現在)。

これは、国内総人口の0.29%である。

仮にコロナワクチンの有効性を90%とし、全国民に前もってワクチンを接種していたら、

国内の感染率は0.29%から0.029%に抑え込まれていた可能性があるということになる。

だが、全国民に接種することはありえないし、既に感染が広がっている状況にある。

今から国内のワクチン接種を始めたとしても、どれほどの効果が見込めるだろうか。

感染者は少なければ少ないほうがいいので、無意味とまでは言わないが、

毎日大騒ぎしている割には、その効果は非常に限定的であり、小さいのではないか。

しかも現時点では安全性の確認ができていない。

日本の場合、

はっきりした効果が上がらず、副反応ばかりが目立ってしまう事態に陥る可能性がある。

一方、アメリカの感染率は7.64%。

イギリス、フランスなど欧州でも軒並み4%を超えている。

これだけ感染率が高ければ、ワクチンの感染拡大抑止への期待が大きくなる。

欧米におけるワクチンへの期待感は、日本とは比べものにならない。

猛スピードでワクチン開発を進めてきたためデータが少なく、安全性などに不安が残っているが、

感染率の高い地域では副反応のリスクを多少負ってでも接種を進めることが求められている。

このように、ワクチン接種により得られる成果は地域によって違いがあることが予想される。

ワクチンについての議論をするに当たっては、

こうしたことを日本国民一人ひとりがあらかじめ認識しておく必要がある。

その上で、国会においても冷静な議論を進め、

誰もが納得できる形にして示されることを期待したい。