前にも書いたことがあるが、私は一方的に喋り続ける人が苦手である。
話がつまらないし、相手をするだけ時間の無駄というのが第一の理由である。
たまたま私が苦手というだけで、その人が幸せに暮らしているのならいいのだが、
こんな人はウザがられるし、しだいに周りに人がいなくなると思う。
私は人のことをわかっているとまでは言わないが、
誰から見ても比較的わかりやすい人はいるものである。
何十年も前からお互いを見ているとなればなおさらである。
はっきり言ってしまうと、
こういう人は、自分に自信がなくて誰かに認めてもらいたいから喋っている。
自分のことしか頭になくて、相手のことなど何も考えていない。
黙っていれば不安だから、とりあえず喋る。
認められていないと思っているから、喋ることによって認めてもらおうとしている。
最近自分の身の周りで起きたこととか、どこの誰と知り合いだとか、
その場の空気や話の脈絡に関係なく次から次へと喋りまくる。
当人は自慢話だと思っていない。話題の豊富な明るい性格だと思っている(思い込みたい)のだろうが、
聞かされる方がどう感じているかと言うと、
「自己承認欲求をコントロールできない面倒な人に絡まれてしまった。ウザっ!」
こんな感じである。
本当は当人も気づいているかもしれない。
だが、不安を制御できずに条件反射的に喋ってしまうのだろう。
状況としては理解できる。
だが、仕方がないで済ませられるかと言えば、
済まない、と私は思う。
たいていは嫌なら距離を取れば済む話だが、そうもできないこともある。
私としても、
何度も何度も、進歩のない、暗く寂しい思いを空元気とともに突きつけられるのは迷惑なのだ。
喋れば喋るほど、不安は増大しているはずだ。
やればやるほど幸せから遠ざかってしまうと思う。
これは、その人が乗り越えていくべきことである。
無論、私にはどうすることもできない。
何かしてあげようと思っているわけでもない。
だが、私は全ての人の幸せを願っている。
その人の幸せも願っている。
できれば負のスパイラルから抜け出して欲しい。
人から認められようと思う前に、まず自分で自分を認めてあげて欲しい。
そして、大切な人と中身のある会話を楽しみたいと思うなら、
相手の立場に立って、相手に関心を持つところから会話を始めるようになって欲しい。
自分の話は自分から唐突に始めるものではなく、
相手からの求めに応じて自然と引き出されていくものだということに気づいて欲しい。
こちらが聞きたいと思ってもいないことをいきなり話されても、私は半分も聞いていない。
話自体は注目に値するものだとしても、何も聞かなかったことにしている。
これは意地悪ではない。
私がその人から聞き出したいと思うまで、何も聞きたくないのだ。
私のような人もけっこういると思う。
その人の当面の課題が不安の解消であるならば、
どこかでそこに向き合う必要がある。
喋れば喋るほどに、周りの評価を下げ、会話を楽しむことから遠ざかってしまうなら、
この負のスパイラルから抜け出さなければならない。
勇気を持って変わらねばならない。
本当は気づいているなら、今すぐ改めるべきと思う。
まったく気づいていない、あるいは直す気がないなら、
誰であろうと、私はもう相手をしたくない。
疲れるだけで無駄だからである。