銀行で年金の手続きを済ませ、空を見上げるとよく晴れている。

何気に郊外に向かって車を走らせていると一面の銀世界。眩しくて思わず目を細めてしまう。

道道三栗線沿いに古い電車の車両があるので、そこに車を停めた。

岩見沢は鉄道の町として有名で、ここも名所の一つ。夏にはあちこちからマニアが訪れてくる。

珍しく車両を独り占めにできるような気がして車を停めたのだが、雪が深くて近寄れない。

やりたいこと、やらねばならないことがたくさんあるが、

ここのところ、手が止まっている。

立ち止まることも時には必要だが、あまり考えすぎると、

余計な心配をしたり、些細なことに腹が立ったりして、

作業に集中できなくなったりする。

自分にとって面白くないことがあるのは当たり前で、そうしたものを無くすことはできない。

悩んでも悩まなくても時間は流れ、私は確実に年を取っていく。

ならば、

余計なことは気にせず、気持ちのいい場所で、やるべきことと向き合うことだ。

私は、少し離れた場所からクハ711系の赤い車両に向かっていくつか独り言を呟き、

体の中の毒を吐き出すようにして、何度も深呼吸をした。

雪が降った後の空気は澄んでいて、冷たくてうまい。

ごちゃごちゃしたことはみんな雪の下になっている。

この冬は、広い雪原で好きなことを好きなだけやってみようと思っている。