大統領選の決着がついたところで、これからの世界についてボンヤリと考えている。

バイデンの勝利演説は私の胸にも響いた。

「私に投票してくれた人のためだけでなく、私に投票しなかった人のためにも、差別なく一生懸命働く。」

ここ数年は、敵か味方か右か左かなどで分断を煽る傾向が世界中に目立っていたが、

バイデンのこの言葉には、久々にホッとするような気持ちにさせられた。

そんな暢気な状況ではないなどと言う人もいるだろうが、

危機感を募らせ、常に切羽詰まった気持ちで解決できるなら、多くの課題はとっくの前に解決できているはずである。

政治の目的が未来を作るためだとするならば、

より良い今を作るしかない。

分断の構図に安住している暇などないはずだ。

未来のために今を犠牲にしていても、貧しい今が累々と積み重なるばかりであり、

それではいつまでたっても豊かな未来は訪れない。

今回の大統領選は、トランプの熱狂が続く中、一方でその反動が強く出ていることを示している。

分断社会からの脱却を強く願う人の意識が束になり、バイデンを勝たせたのだと、私はそのように解釈している。

バイデンを見ていると、地に足をつけた価値観、社会がしだいに戻ってくるような気がしてくる。

コロナ後の大規模金融緩和でジャブジャブの市場にも変化が見え始めている。

いまだ高値圏にある市場株価は今後調整されていくのではないか。

今、晩秋の山の景色を眺めている。

季節とともに葉の色が変わり、やがて落ち葉となり、それらが養分となって、春になれば新しい命が生まれてくる。

産業や雇用の流動化も静かに進んでいくだろう。

コロナ後の成長モデルも徐々にイメージされつつあり、

そうしたところに資本が流れ始めるに違いない。

株式投資は博打ではない。

特に、高齢となり直接現場で働かなくなった日本人は、お金を働かせることにより社会に貢献する発想を持つべきだ。

少子高齢化の進む日本社会でお金を働かせることをしないと、

国内市場は際限無く縮小し続け、いずれ経済そのものが破綻してしまう。

そのような状況では、いくらお金を持っていても役に立たないのだ。

年を取って直接的に働かなくなった中高年の仕事は、お金を働かせること、経済を回すことのはずだ。

いきなり投資を始めるのは難しいかもしれない。

だが投資をしなくても、

よりよい今と未来を志向するのであれば、市場の動向を見ておくことがどうしても必要になってくる。

投資を誤解し、激しいアレルギー反応を起こす人がいまだに多いが、

学校でも投資について触れるようになるなど、すでに時代は変化している。

世界でもっとも早く少子高齢化に直面している日本には、世界に先駆けて新しい価値観、モデルを作りあげていく責務があり、

これは大きなチャンス、アドバンテージだと思っている。