今日は、ある講演会を聴くために上富良野町に来ている。

雪結晶の研究で有名な中谷宇吉郎は、冬になると十勝岳中腹の白銀荘という山荘にこもっていたと言う。

雪結晶ができるメカニズムは、今まで何度聞いても実感としてピンとこなかったのだが、

今回を機に真面目に考えてみた。

雪は氷であり、氷は水である。

水の分子はH2O。つまり一つの酸素原子に二つの水素原子がくっついている。

温度が低くなり水の凝固点を下回ると、この水分子の中の酸素原子が一つの水素原子と強力に結びつく。

これを水素結合というが、この水素結合により、一つの酸素原子に三つの水素原子が結びつき氷となる。

その時の水素原子は等価に酸素原子に結びつくことになる。

つまり、酸素原子を中心に360度を三等分した120度の角度で水素原子が結びつき、そこで安定している。

これが雪結晶である。

図にするとわかりやすいのだが、綺麗な正六角形の形になる。

なるほど。

さらに温度やら水蒸気の過飽和度やら何やらで結晶の形が決まるのだが、

そのことを図で明らかにしたのが中谷宇吉郎の「中谷ダイヤグラム」とのことである。

水素結合や水蒸気の過飽和度などについてはさらに理解を深めていきたいところだが、

やっと最低限の理解ができた気がする。

とにかく綺麗なので、私の子どもの頃は雪の結晶を長い時間眺めていた。

十勝岳の雪は日本海側の雪とは雪質が違う。

日本海側の雪は地上に降りてくるまでの温度変化で形が崩れやすいのに対し、

十勝岳は標高が高く、空中でできた雪結晶をほぼそのまま手にすることができる。

これもまた誇るべき十勝岳の魅力と思う。