このまま少子高齢化が進めば、生産年齢人口が減少し市場規模も縮小する。

国力はガタ落ちし、国際競争力も低下するだろう。

だがこれは最初からわかっていたことだ。

悲観的な見方をする人も少なくないが、そもそも戦後の高度成長期のような人口ピラミッドは永続的に維持できるようなものではない。

平均寿命が飛躍的に伸びる中、出生率が高いままだとしたら、今ごろ日本の人口はどうなっていただろうか。

それはそれで大変な問題が噴出していたに違いない。

今でさえ日本の人口密度は異常に高い水準にある。

地球の歴史を振り返ってみても、非常に不自然な状況であることは明らかだ。

この国に多くの命が生まれてきたのは素晴らしいことだが、

国内の資源は限られている。

成長期の日本を理想の姿ととらえがちだが、50年前の残像を引きずっていても仕方がない。

近代の日本は、そもそも持続性のある社会構造ではないのだ。

増え過ぎたら自然と減る。そうなってきただけだと私は思っている。

問題は人口が減ることではなく、人口が減ることをいつまでも受け入れることができないでいることだ。

冷静に今とこれからを見据え、あるべき姿に向けて小さな取り組みを重ねていきたい。

そろそろ政治家は未来予想図を示すべきだろう。

政治家が示さずとも、国民一人ひとりが思い描くべきだ。

少子高齢化は日本だけで起きているのではない。

私たちには、世界に先んじて新しい社会のあり方のモデルを示していく責務がある。

大変なことではあるが、

重荷と言うよりやりがいのある仕事ではないかと思っている。