安倍前首相が辞任してから一ヶ月が経過した。

私なりに安倍政権の総括をしているのだが、

今まで安倍政権を支持する人たちの意見をあまり冷静に受けとめていなかったと思っている。

私自身は安倍政権のやり方に不満を感じることが多かった。

安倍政権によって決められてきたことにも不満があるが、それよりも物事が決まるまでの過程や手法に納得ができなかった。

これでは未来が描けないと、私自身はそう考えてきた。

好きか嫌いかで言えばたぶん嫌いだったので、少し感情的になっていたのかもしれない。

だが、私の目的は政権や支持者に延々とダメ出しをし続けることではない。

自分の意見を表明し時には批判することも必要だが、

何よりも、現実をよりよく変えていかねばならない。

そのためには、支持派の考えていることをもよく知らねばならない。

自分と考え方が違うのは仕方がない。

違うのは当たり前であり、その違いをどう扱うのかが問題だと思っている。

だから、彼らを頭から拒絶したり、いつまでも平行線でいるべきではないと思っている。

排他的な態度が社会の分断を決定的にしてしまう可能性があることを自覚し、そこに責任を持たねばならない。

先日、日頃から信頼している若い人たちの安倍政権への思いを聞き、ある種の衝撃を受けた。

よくぞ私の前で話してくれたと感謝している。

いびつで不完全ではあったがどうにかこうにか国内経済が機能し、雇用が守られてきたことを評価する声が目立つ。

外交・安全保障政策も立場が違えば見方や切り口も違い、絶賛している人もいる。

これらは事実であり、現実なのだ。

こうした感じ方の違いがあることを踏まえた上で、どのような現実を作り出していくのかが大事だと思う。

自分と意見が違うことを嘆き、途方に暮れ、愚痴を撒き散らすだけでは、

現実は変わらないどころか、分断を固定化することになりかねない。

その意味で、今までの私は少し怠慢だったと思っている。