9/30に行われたアメリカ大統領選のテレビ討論会を振り返っている。

史上最悪の低レベルな討論会だったなどと散々に言われているが、

この事態は誰もが予想していたはずだ。

トランプもバイデンも、いつもどおりに振る舞っていただけで、私が意外に感じるようなことは何もなかった。

あの討論会を口では批難しながらも、実は面白がっている人が多いのではないか。

だが、面白いだけでは済まない。

アメリカ大統領選の結果は、その後の世界を大きく変える力を持つ。

事実、トランプとバイデンの互いの主張が激しく対立していることはたしかだ。

世界中で社会の分断が進み、その危険性についても多くの指摘がなされているが、

今回の大統領選挙を巡っても、あちこちで口汚い罵り合いが繰り広げられている。

意見を闘わすのは悪いことではないが、単なる醜い罵倒合戦は建設的な未来を作り得ない。

どちらが正しいとか、間違っているとか、

この後、勝ち負けの決着がついたとしても、今のような経過を辿るなら、互いに手を取り合うようにはならないだろう。

足の引っ張り合いばかりで、どちらも身動きが取れない。

どっちも折れなければ延々と罵り合いが続くだけだ。

世界一の大国アメリカの有り様は、様々な形で私たち日本人の生活にも深い影を落とす。

あの討論会を見て先行き不安になった人も少なくないが、少し切り口を変えてみれば違った見方もできる。

今回のアメリカ大統領選も今の社会の有り様をよく映し出しているように思う。

そして両候補とも、それぞれの立場から非常に理に適った行動を取っている。

たしかにレベルが低いが、これが今の私たちのレベルなのだ。

そして今回の討論会を見て、このままではまずいと感じている人が増えている。

不毛な対決思考では未来を作れないと多くの人が感じた時、

あらためて多様性を認める流れが生まれるのではないか。

時代はブランコのように反動的に動いていく。

絶対に正しい答えはどこにも存在しない。

今のところは、争うこと自体を楽しんでいる人も大勢いるが、

これからはその結果に責任を持つことも必要になってくるのではないか。