昨日の夕方、郵便物を眺めていたら、子どもの頃に読んだ宮沢賢治の「どんぐりと山猫」の冒頭を思い出した。

本当に不思議。昨日は9月19日の土曜日だったからだろうか。

面倒な裁判をしてるのは人間だけじゃなくて、そこに呼ばれるなら私も行く。

山猫から呼ばれただけでとても嬉しい。

どんぐりと山猫を思い出したその時から、私は主人公の一郎になった気分になり、

そのまま眠くなって、さっきまで寝ていた。

一郎が目を覚ました時、あたりはもう明るくなっていて、

ひとりで谷川に沿った小道をのぼっていく。

途中、実をバラバラ落とす栗の木や、笛吹の滝、白いきのこの楽隊、リスなんかに道を訊きながらどんどんのぼっていく。

暗い森の急な坂をのぼると、

明るく開けた金色の草地に出るのだ。

そこにはへんてこな山猫の馬車別当がいて、

馬車別当とへんてこな話をしていると、どうという風とともに山猫がやってくる。

よく見ると、

足元にはたくさんのドングリたちが、わあわあやっている。

誰か一番偉いドングリなのか。

てんでまとまりがつかなくて、山猫は私をここに呼んだのだ。

山猫に訊かれ、

私は、一郎が言ったことを思い出した。

「この中で一番、不細工で頭が悪くて何をしてもダメなのが偉い」

ドングリたちはしぃんと堅まってしまう。

山猫は喜んだが、

お礼を拒み、昨日届いたハガキの書き方に少し意見をしたら、

いつの間にか山猫も馬車別当も見えなくなって、

さっきまで金色に光っていたドングリが当たり前の茶色のドングリに変わってしまう。

今日は外が明るくなったら、近所の谷川の小道に行ってみる。