火を見ていると、逆に火に見られているような気がしてくる。
そのままもっと火を見ていると、実は今だけでなく、普段から火に見られているような気がしてくる。
私のことをそんなに知っているのなら、話をしてみようと思う。
いいフリこいても仕方がない。
自分から無駄なものが削ぎ落とされ、
無意識に最初に口から出てくる言葉は、自分でも意外なことだったりする。
そうして素直に話すことができたら、
アペフチは私の言葉をちゃんと受けとめて、私にもちゃんと話してくれる。
アペフチを見つめたまま、いくつかのやり取りを繰り返す。
話した端から何を話していたのか忘れているようだが、それでいい。
本当は忘れてはいなくて、アペフチの煙とともに体の奥深くに沁み込んでいる。
私の体がそれを裏切ることはない。
そうしてまた一日を無事に過ごしたら、
また新しい火を見るのだ。
体に新しい何かを馴染ませ、翌日はその新しい体で生きる。
そして夜にはまたアペフチと話し、新しく何かを馴染ませて、また新しい朝を迎える。