さっきシコロ沢林道でコケてきた。

DRでコケたのは、たしか6年ぶり。

もう昔のように攻めるような走り方はしていない。

今も山の空気を味わいながらゆっくり走っていたのだが、

ダート路面はちょっとしたことでも滑りやすく、バランスを崩すことはよくある。

油断していたわけではない。

緩やかな下りのストレート。日陰にところどころ水が浮いていて、全体がやわらかくなっている。

実は、こういうのがちょっとだけスリルを味わいたくなるような、遊びたくなる場所だったりする。

どこでコケてもやわらかいので怪我のリスクが少ない。バイクが損傷する可能性もほぼない。

昔ならコーナーまで速度を上げていくところである。

だが、51歳になった今は、同じことをして転ぶとたぶん怪我をする。

なので、速度は上げない。

速度を上げない分、少しよそ見をするなどして路面への注意を減らし、不規則にスリップする確率をわざと上げてみたりする。

我ながら馬鹿げていると思うが、こういうのが楽しいのだ。

微妙に不規則に滑りながら、轍の影響でバランスを崩しかけるが、そこから取り戻すみたいなのが好きだったりする。

さっきは、左前方に広がる景色が見事だったので、遠くを見ながら足元の不規則な滑りを楽しんでいた。

そして、「ここなら転んでもいいや」って感じのところで無造作に轍を切り換えたら、

予想以上に滑ってバランスを崩し、立て直すことができずに右に倒れた。

昔なら右足で踏ん張ったと思うが、踏ん張ろうとはしなかった。

計算しながら転んだので、右膝の下に少し泥が付いたが、体をどこかに打ちつけたり、酷く体幹を捻ったりすることもなかった。

計算どおりに転べたことに満足している。

DRは山のバイク。DRも私も時々こういうことがあった方が楽しいと思っている。

右のバックミラーは割れなかったし、ブレーキレバーも曲がっていない。

3万円のGIVIのトップケースが地面についたのに少し冷や汗かいたが、割れもヒビもなかった。

倒れた後はしばらくの間エンジンがかかりずらくなるものだが、2回目のキックでいつもと同じように吹き上がった。

色んな可能性を想定しながら走る力は衰えていないと思った。むしろ進化しているかもしれない。

コロナに翻弄され続ける世界は、困難で先行き不透明な局面を迎えている。

経済は今のところは転ばないようにして踏ん張っているが、かなり不自然な体勢であちこちに無理がかかってきている。

バランスを崩してコケるにしても、どこでどのようにしてコケるのかが大事になってくる。

コケ方は色々選べる。どのような優先順位を設定して、どのように受け身をとってコケるのか。

国内の経済もかなりの打撃を受けている。

倒れないように必死にしがみつく気持ちもわかるが、ここまでくると倒れることも覚悟しておくべきだろう。

そんなことを考えながらDRを走らせていたら、途中に鹿の足の骨が落ちていた。

私もコロナでコケるだろう。

アフターコロナを想定して、次に繋がるコケ方を積極的にイメージしておきたいと思っている。