小さかった姪がいつの間にか高校3年生になっている。
そのせいか、私が高校3年の時のことを思い出していた。
「高校を卒業するのは初めてだし、その後のことなんか何もわからない。ぼんやりしたイメージさえわいてこない。」
「よくわからないけど、友人の多くは大学に進学するみたいだから、とりあえず自分も周りと同じようにしておこう。」
だいたいこんな感じだった。
親や学校の先生は口うるさく「大学に行け。だから勉強しろ。」としか言ってこない。
とりあえず机に向かうが、どのように勉強したらいいのか見当もつかなかった。
学校や親から言われたとおりに勉強をしたとしても、何かの役に立つとは思えなかった。
そもそも何のために大学に行くのかわからない。
そんなこんなで、生活全般に力が入らなかった記憶がある。
なんとなく卒業式を迎えた。親に言われるままに何校か受験していたが、どこにも合格しなかった。
だが当時は受験生の数が多く、浪人するのがむしろ普通みたいな空気があった。
小学の頃からの友人たちもみんな浪人することになっていた。
春先こそ毎日予備校に通うが、夏休みを境に予備校に行く回数は激減する。
とりあえず毎朝家を出るが、
駅や溜まり場で仲間たちと顔を合わせてしまうと、だいたいゲーセンや雀荘に行くことになる。
そのまま受験から離れていく友人もいた。
私は、その頃から自発的に親から離れて生活してみたいと思うようになっていて、
そのためにはもっと知識と経験が必要だと考えるようになっていた。
その意味で、自立するまでの大学生としての4年間が魅力的に思えてきた。
そこから自分なりのモチベーションが生まれ、勉強するようになったと思う。
このようにして、私の場合は、浪人生として友人たちと過ごすうちに将来の漠然としたイメージを描けるようになっていった。
高校生のうちに明確な目標を掲げることができればよいが、それは昔も今も難しいことだと思う。
姪がどのようなことを考えているかわからないが、迷いがあるようにも見える。
学校の進路相談などで「どうする?」と聞かれれば、とりあえずは「進学する。」とか「働く。」と答えるだろうが、本人にはっきりした実感がないことも多い。
進学するなら今から勉強しないと間に合わないのだが、
本当に進学したいのかわからないうちは無理な話である。
どうしたらよいのかわからないものはわからないのだ。
「どうするつもり?」などと言われても、
わからないのが普通だし、とても気の毒な話だと思う。
大人にしてみればいつまでも待てるものでもないのだが、あまり急かしてしまうと解決するものもできなくなってしまう。
同世代の子を持つ親としては、
難しい状況におかれている高校生たちの気持ちをわかっていてあげたいと思う。
そして、本人が卒業後のイメージができるように、さりげなく導いてあげることができたらと思う。