フキを少しだけ採ってきた

あちこちに立派なフキが目立つようになってきたので、リュックにビニール袋と小型ナイフを入れて、DRで石狩川の河川敷に行ってみた。

4月に立派なフキノトウがたくさん生えていた場所に辿り着くと、入れ替わるようにして、これまた立派なフキがたくさん生えている。

ここであのフキノトウたちと出会ったのは先月の14日。あの時は雪がなくなったばかりでまだ緑が少なかったが、今は草木がにわかに色づき、道端にはイタドリも生い茂っている。たった45日でずいぶんと変わるものだ。

45日前、私はここでフキノトウを採らせていただいた。

以下、45日前の回想~

幼い頃にフキノトウを少し食べた記憶があるが、フキノトウを自分で採ったことはなかった。毎年、春先に道端にニョキニョキと生えてくるのを楽しみに見てはいた。ただ、それが「フキノトウ」というだけで、なんだかよくわからないまま私は50歳になっている。

何も知らないまま、私は一人でフキノトウたちのところにやってきた。雪解け春一番の、大地の恵みに関心があった。50歳にもなってフキノトウのことを何も知らずにいる自分を少し恥じながら、春の陽光に輝くフキノトウたちを見つめていた。

モジモジしていても始まらないので、私はフキノトウたちに話しかけることにした。

「はじめまして。私はゆたかなおなかと言う者です。フキノトウの皆さんのことは子どもの頃から知ってはいます。雪解けと同時に現れるあなたたちを見るのがずっと好きでした。今も大好きです。」

「今日は、皆さんに会いたくてここに来ました。遠くから見てるだけでなく、ちゃんと会ってお話をしたいと思ったからです。今ここで皆さんと会うことができて、幸せを感じています。」

「まだ皆さんと出会ったばかりですが、私はもっとたくさん皆さんとお話をしたいと思っています。これから皆さんのもっと近くに近寄って、一人一人と目を合わせてお話をしたいと思っています。」

「一人一人とお話をさせていただいて、もし気が合いそうだと感じたら、そのうちのほんの少しだけ、私に採らせていただきたいと思っています。」

「私は皆さんのことをもっと知りたいと思っています。気をつけますが、知らないうちに粗相があるかもしれません。その時は教えてください。反省して同じ過ちは繰り返しません。」

ここまで話してから、私は覚悟を決めてフキノトウの群れに近づいた。

みんなフキノトウなのだが、近くで見ると一つ一つ全然違って見える。すでに花が開いて上に伸びていこうとしているもの、まだ蕾の状態でこれから花を開こうとしているもの等々。一つ一つ主張が違う。

顔を近づけてもっとよく見ようとしたが老眼であまりよく見えない。子どもの頃にもっとよく見ておけばよかったと思った。

だが、はっきり見えなくてもそれぞれの主張は感じる。私はいくつかのフキノトウと話しているうちに、そのうちのいくつかを食べてみたくなった。

食欲に突き動かされているのとはちょっと違う。フキノトウたちと対話しているうちに、もっと知りたいと思ったのだ。

「いいよ。私を採りなさい。」

こんな声がいくつか聞こえたように感じたので、私はそのうちのいくつかを採らせていただいた。

ここの精霊たちとのご縁に感謝し、「またここに来ます。」と約束してきた。

~以上、45日前の回想終了。

私は、ここの精霊たちに最近の私のことを報告するため、再びここにやって来た。

いただいたフキノトウを一つ一つ丁寧に天ぷらにして家族で美味しくいただいたこと。

そして私たち人間が、自然から生まれ、自然に守られ育まれ続けているということをあらためて感じているということ。

45日ぶりにここの精霊たちとの挨拶を交わした瞬間、ダイナミックな自然の営みの中に自分もいるのだという感覚に包まれる。

私はまだ知らなさすぎる。知らないといけないことがたくさんあるのだと、そんな気持ちになった。

もう50歳になってしまったが今からでも遅くはない。見える世界が広がっていくようで、自分を包んでくれる精霊がたくさんいてくれてるように気がして、なんとなく楽しくなった。

45日前にフキノトウが生えていた場所に、今はこんなにたくさんのフキが生えている。

45日前と同じようにして私は名を名乗り、ここにやって来た理由をあらためて述べ、一人一人のフキとお話をさせていただいた。

そして、意気投合した綺麗な緑色をしたフキを、片手に収まる分だけ採らせていただいた。

ここの精霊たちに挨拶して、またここに来る約束をしてきた。

DRでその場を離れるが、背中のリュックからはみ出したフキの頭が、帰り道のDRのバックミラーにちらちら映っている。

私はフキたちが不機嫌になっていないか気になり、バックミラーで確認しながら背中のフキたちに話しかけ続けた。

道の駅で一休みしてると、山菜取り帰りのおばちゃんたちに次々と話しかけられた。おばちゃんたちもどこかでいいフキを採ってきたらしい。

採らせていただいたフキは、灰汁抜きをして皮を剥いて、一晩水に浸けてある。

豚肉と一緒に味噌汁に入れて、あとは油炒めしてみようと思っている。

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