日本でもベーシックインカムの導入について語られることが増えてきた。
背景として、やはり新型コロナウイルスの世界的な蔓延がある。
4/7に緊急事態宣言が出され、長期にわたり経済活動が大幅に収縮。いまだ先行き不透明な中、企業倒産や失業者が目立ってきている。
仮に今から経済活動を全力で再開したとしても、従来と同じような発想では立ち行かなくなる可能性が高い。
そうなれば、行き場を失う労働者がさらに増えることになる。
その時のために、ベーシックインカムについて今から検討しておく必要があるという指摘である。
現時点では、コロナ蔓延以前に戻ることを中心に目標の設定がなされていると思うが、
その一方で、最悪の事態の可能性から目を逸らすわけにいない。そこに対しての準備もどうしても必要なのだ。
最悪のシナリオとは、
コロナ以前に戻りたくても戻れず、失業者が一気に増えた場合にどうするか。
社会システムの再編により、労働力の再配置がスムーズに進むならいいが、そんな風にうまくいくとはとうてい思えない。
失業者には生活保護を受ける権利があるが、申請者が一気に増えれば、社会全体に不穏な空気が充満するだけでなく、色んな意味での混乱が予想される。
仮に失業者全員が生活保護を受給できたとしても、その後の社会、経済の回復はあまり期待できないのではないか。
であれば、新しい社会システムが確立されるまでの間だけでも、可能な限りストレスなく、スムーズに失業者の生活を保障することを考えた方が得策ではないか。
ベーシックインカムであれば、生活保護と比べ、圧倒的に受給者の心理的負担が軽い。
また、既存の生活保護、雇用保険、年金などの社会保障制度を全廃までできなくても、かなりコンパクトにできるはずである。
そうなれば、行政機関のコストも大幅に軽減できる。それと同時に行政にもAIを大量に導入することにより、公務員の大規模リストラも可能になる。
システムの再編をスムーズに進めるためには、どこかで企業と労働者をバラバラに切り離すことが必要だが、
ベーシックインカムが後ろ楯にあれば、官民ともに雇用の流動性が上がり、再編が進みやすくなる。
そうなれば、会社組織に依存する発想から離れ、独立起業もしやすくなる。
もちろん財源の問題もあるが、社会保障制度の再編、公務員の人件費削減などにより、けして不可能な話ではないように思う。
実はあまり時間もない。ベーシックインカムについて、国内の議論を早めに活性化させておく必要があると思う。