さっき、スーパーで買い物をしていたら、とても懐かしい人とばったり会った。

2年ほど前、私は児童相談所に勤務していたのだが、当時とてもお世話になった里親さん夫婦だ。

ご主人はとても笑顔がやわらかく、心の温かい人。奥さんもとても明るく、活発でありながら色んなことにさりげなく配慮のできる人。

仕事でご自宅にも何度か訪問させていただいたが、とにかく超のつくほど温かい家庭なのだ。

ご夫婦がそれぞれ補い合い、元気な3人のお子さんとともに、全員でいつも楽しいハーモニーを奏でている。

仕事を通しての短期間の関わりだったが、生き方、価値観などになんとなく共感するところが多く、

今思い返すと、個人的にもたくさんの刺激を受けてきたような気がする。

ご夫婦は、私が里親関係の担当をしている時に、熱心に研修を受講され、養育里親として登録された。

登録からまだ日の浅い、若手の里親夫婦なのだが、登録と同時に難しいケースの就学前児童を立て続けに見ていただいた思い出がある。

児童相談所としても非常に頼もしい、頼りになるタイプの里親さんなのだ。

とても懐かしく、スーパーの中であっという間に10分以上話し込んでいた。まだまだ喋り足りなくて、近いうちに遊びに行く約束をしてきた。

私が児童相談所で経験してきたことは、あまりにも色々なことがあり過ぎて、とても簡単に言い表すことができない。

一言では言えないが、無理やりに一言で言うとすれば、「あまりにも辛すぎるので、全て忘れたい。」という感じが正直強い。

私の中には、

幼少期からの個人的なトラウマなどが複雑に絡まりあい、心の奥底に固く封印しかけているものがあるのだが、

それらは、100%封印したままではいられないような気がしてきている。

私がこれから直面していく様々な現実の中で、

心の奥底に横たわる記憶が少しずつ引き出され、あらためて自分の中で受けとめ、消化し直し、それらを踏まえて生きていく。

そんな未来の自分の姿が浮かんでくるのだ。

そんな直感が、今、私の全身を駆け巡っている。

トラウマと向き合うのは楽なことではないので、今は微かな疲労を感じているが、自分の中の未知の領域を心地よく刺激されているような気がする。

おそらくこのご夫婦は、私にとって、何かの鍵となる存在なのだろう。こうしたご縁、大切に生きていきたいと思う。