屈斜路湖近くのチセヌプリの麓で、パヨカカムイ エピル(パヨカ=歩き回り、疫病をばらまく カムイ=神 エピル=祓う)の儀式が行われた。
私はエムシ(刀)を使い、パヨカカムイ(疫病の神)と折り合いをつける気持ちを込めて祈り続けた。

アイヌ民族は、疫病を敵視して戦うのではなく、その存在をも認め、共存する精神をベースに持っていると言う。
疫病の元は常に人間の近くに存在しているのだが、普段は私たち人間との棲み分け、均衡が保たれているものである。
疫病が人間に牙をむき、感染症が蔓延するということは、その関係性のバランスが崩れているのだと考える。
バランスが崩れている理由は、もしかしたら人間の側にあるかもしれない。そこには、カムイから私たち人間への何らかの警告、メッセージが潜んでいるのかもしれない。
そうした自省の念を抱きつつ、パヨカカムイに対して、人間に悪さをし過ぎないよう祈る。
道東の某エカシが声を上げて行われた儀式だが、町などの後援を取りつけ、アイヌ民族のみならず、地元住民などを含めた約40名がそれぞれの思いを込めて祈り続けた。
今は新型コロナが世界中に蔓延している最中であり、
取材にきていたNHKや共同通信などからニュースが流れ始めるとともに、かなりの反響が広がっているようだ。
賛否両論が溢れることになると思うが、多くの人が社会のあり方を多方面から考えるよい機会になったのではないかと思っている。