よく、公務員は民間に比べて仕事が楽だと言われる。地位と給与が安定していてお気楽だと言われることもある。
そこであらためて考えてみたい。公務員は本当に楽なのだろうか?
一言で言うと、
仕事をしなくても平気でいられるごく一部の職員は楽かもしれないが、大半の職員の負担は増大し続けている。
と、私は思う。
たしかに、ヒマそうに見える部署もないとは言えない。また、働かなくても能力がどんなに低くても、よほど悪いことをしない限りクビにならないのも事実である。
しかし、普通の職員が手抜きできるのかと言えば、そんなことはありえない。
ほとんどの部署、職員は余裕がなく、とても手抜きができるような状況ではない。
普通に仕事をこなす能力を持った職員であれば、ヒマな部署に配置されることはない。
仕事のできる人は負担の大きい部署に配置され、
何らかの理由で仕事のできない状況に置かれている職員に限って、比較的負担の少ない部署に配置されている。
これが実態である。
何故のんびりしてるように見える部署があるのかと言えば、クビにできない職員をどこかで抱え込んでおく必要があるから、とも言えなくもない。
バブル以前に採用された、万年お気楽な職員もいるかも知れないが、今はそんなのは全体の1%もいないと思う。そこはかなり淘汰されてきているのだ。
それよりも懸念されるのは、
本来高い能力を持ち、実績も上げてきた職員なのだが、重たい責任を負わされ、激務を重ねてきたために、心身に不調をきたしているケースである。
今は、こうした職員が激増している。
こうした職員を、効率が落ちているからと言って、すぐにクビにすることができるだろうか。
クビにしたとして、それで何かのプラスになるだろうか。
彼らは、有益な知識やノウハウを持っており、環境さえ整えば能力を発揮できる場合もあるのだが、
今の行政組織はどこもかしこも余裕を失っており、心身を消耗し続けてきた職員の力を引き出せる状況ではなくなってきている。
このため、組織全体としても人材が枯渇しており、元気のある者から順番に負担の大きい仕事を任される傾向にある。
職員に対して能力以上の働きを強いていることも少なくない。
若手の中には、少々ブラックで辛くても使命感に燃えてくれたり、出世欲を刺激されたりすると頑張るタイプも一定数存在している。
また、時間外勤務が発生しても若いと手当の単価が低く、人件費を抑えることもできるので、組織としては使い勝手がよいのである。
だが、今バリバリと働いている職員であっても、いつ倒れてしまうかわからない。
一方で、長年勤めてきたベテラン職員の多くは疲弊し切っており、知識や経験が豊富でも過酷な現場で働くだけの気力体力が残されていない。
そんな中にあっても、
最終的には組織としての役割を果たさねばならない。誰かが重たい責任を負いながら仕事をしなければいけないのだ。
まとめると、
- 過酷な業務により心身を激しく消耗させてしまう公務員が激増している。
- 機動的に業務を遂行できる人材が不足し、行政組織全体に一切の余裕が失われている。
- 公務員一人当たりの負担は増大する一方。
民間がどれだけ大変なのか、私にはわからないが、公務員がお気楽なわけではないことだけはたしかであると言える。