今日で東日本大震災から9年になる。ついこの前のような気がするが、9年も経っているとは驚きである。
個人的にはあの時の衝撃を未だに受けとめることができていない。9年経った今も茫然と立ちつくすだけで最初の一歩さえ踏み出せていないというのが正直なところである。
こうした感覚でいるのは私だけではないはずだ。
現実に住居を追われ、職を失い、今も避難所生活を強いられ続けている人が大勢いる。
窮地からの打開策など、どんなに考えても見つからないこともある。無理なことはどうしたって無理なのだ。だからと言って簡単には諦められないこともある。何をするにしてもしないにしても単純には割り切れるものではない。
だが停滞を嫌う多動社会は、
津波被災地に巨大な防潮堤を築いて海を私たちから切り離し、目くらましのようにして「復興」を名目にした派手なイベントをぶち上げ続ける。
被災地を置き去りにしたまま、いや、被災地を都合よく利用してでも、いずれ破綻するしかない道を虚しく突き進んでいる。
本当は誰一人として被災直後の気持ちを忘れてはいないはずだ。
来年は10年目を迎える。半年もすればお祭り騒ぎのオリンピックも通り過ぎ、これから確実に直面するであろう自然災害や経済恐慌とも向き合っていかねばならない。

私も9年前の大震災を振り返り、祈り続ける。
これからの1年、人々の心のベクトルが真っ当な方向を向くものと信じている。