体温計を探しにちょっと出かけてみたのだが、どこに行っても売り切れていて驚いた。

いくら新型のウイルスが流行しているといっても、まさか体温計が品薄になるとは思わなかった。

体温計はたいていの世帯で元々常備されているものであり、何が起きたとしても需給バランスが崩れるような事態にはならないと思い込んでいたのだ。

従業員に毎日の検温を指示する事業所が増えているが、店の在庫がなくなることまでは想定していなかった。

通常であれば品薄になったとしてもすぐに追加納品されるが、部品調達や製造を中国に依存している場合は供給されるまでに時間がかかるかもしれない。

大規模な自然災害が起きたわけでもなく、重篤な罹患者が爆発的に増加しているわけでもないのに、現実にこのような事態になっているのである。

こうしたことに直面すると、近い未来に想定される大規模災害や経済恐慌が起きた場合の社会的な混乱をリアルに想像してしまう。

よく考えてみるとこのような不安は、

胆振東部大地震後のブラックアウトや令和元年東日本台風の水害時にも薄々感じていたことでもある。

今までは決定的なダメージを受ける一歩手前で踏みとどまっているが、単に幸運だったとしか思えない。

異常気象や大規模地殻変動そのものへの恐怖はもちろん、何かが引き金となって社会に大きな混乱が連鎖するのではないかという不安はつのるばかりである。

防災対策の重要性が叫ばれているが、情報に振り回されず、物質に依存しない生き方こそが唯一の危機対策なのかもしれない。