世界的にインフラが整備されている現代においては、労働による経済成長よりも資本収益の効率が大きく上回っている状況にある。
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フランスの経済学者ピケティの著書「21世紀の資本」の中に出てくる有名な数式だが、
資本主義経済を放置していれば、いずれは持つ者と持たない者の格差が拡大することになる。
現実に労働の価値は相対的に低下する傾向にあり、これからは労働収入に依存する考え方では、生活を守ることが難しくなるのではないか。
たしかに労働は尊いものであるし、労働所得の向上は望ましいことではあるが、今のような時代に「給料を上げろ」と感情的に言ってみてもよりよい現実を引き寄せることはできない。
企業は企業で資本力を増強することでしか生き残れない。その意味で言えば、企業を優遇してきた日本政府の姿勢を理解できなくもない。
企業としては、利益をこれ以上労働者に分配してしまっては国際的に通用するだけの競争力を維持できない状況にある。
この状況下で企業に怒りの矛先を突きつけ続けていても、雰囲気が悪くなるだけで問題は解決しない。
現実的に、それ以外の方法も考えないといけない。
これからは、労働収入以外の収入をも確保していく必要がある。
個人レベルでも資産が資産を生み出すシステムを意識的に構築する必要がある。
日本人は比較的多くの預貯金を保有している。
その預貯金をただ眠らせておくのはもったいない。
株式投資などを通じて市場に資金が流入していけば、市場は今より活性化し企業収益の向上に資する効果も期待できる。
また、市場が活性化し企業が成長すれば、
それと同時に個人資産も成長し、消費者の購買力も高まることになる。
こうした好循環を作り出す工夫が国内でもっとなされるべきだ。
今のように少子高齢化が進行してしまっている状況にあっては、その効果も限定的なものでしかないかもしれないが、今の日本が目指すべき一つの方向性であると思う。
①国内預貯金の市場流入→②市場の活性化→③個人資産の成長→④消費者の購買力向上
こうした循環を意識的に作り出すべきではないか。
その直接的な効果が限定的だとしても、間違いなくプラスに働く流れであると思う。
そのためには、
現代の日本人に染みついてしまっている、お金に関する間違った思い込みを取り除く必要がある。
投資はギャンブルではない。
投資とは、金儲け以前に、社会的な事業に資金面で個人が参加するという行為である。
その事業が成功し拡大していけば、同時に個人資産も成長することになる。
企業と個人がともに成長するための仕組みであることを知るべきである。
お金はいつまでも眠らせておくものではない。
お金は社会のために働いてもらうべきものである。
企業と労働者の対決モードでしか事象を捉えようとしないのであれば、市場は縮小し社会全体に不満と分断がいっそう拡大するだろう。
日本人はお金を持っている。上手に生かしていけばまだまだ可能性はある。