子どもの頃からの疑問の一つに、「遠くの天体の距離がどうしてわかるのか?」というのがある。

「地球から何万光年離れている。」とか言われても、どうやって計測したのか見当もつかない。

ものさしで測れるものではないし、対象物に光を反射させて計測するやり方では結果が出るまでにみんなあの世に行ってしまう。

他に計測法として考えられるのは、

太陽系内惑星など比較的近い天体であれば、地球の公転による位置の違いと天体の見え方の違い、いわゆる「視差」から距離を割り出す手法。これは簡単に理解できる。

しかし、遠い天体は視差が限りなくゼロに近づき計算不能になる。そうなると完全にお手上げではないのか?

少し切り口を変えてみる。

  • 天体の本来の明るさを「絶対等級」、地球から見た見かけの明るさを「実現等級」と呼ぶが、絶対等級がわかれば、実現等級との比較で距離を計算することが可能になる。

なるほど。その理屈もわかる。絶対等級、実視等級、距離の3つは相互に関連しているから、このうちの2つが分かれば残りの1つも自動的に割り出せる。

しかし、

  • 実現等級は、見かけの明るさだから確実に分かる。
  • 視差は、地球から近い天体であれば検出できるが遠くなると分からなくなる。
  • 絶対等級は、単独で計測することは困難なのではないか?

以上から視差の検出されない天体の場合、距離と絶対等級を求めるのは難しいように思われるが、

GN-z11(おおぐま座の方向にある高赤方偏移銀河)というもっとも遠い天体は、地球から320億光年離れているとされている。

320億光年というとてつもない数字は、いったいどのようにして出てきたのか?

実は、大半の恒星はその表面温度と明るさの間に一定の関係性があり、色だけで絶対等級がわかるらしい。

・・・・どれほどの精度なのか分からないが、意外にあっけなく解決してしまった。

だが、子ども時分から解消されていない疑問は他にもたくさんある。一つひとつ解決していきたいと思う。