効率化を追及するあまり、社会からゆとりがなくなって久しい。分刻みで仕事に追われている社会人の中には趣味を持つことに引け目を感じている人さえいる。
また「自分は上手くない」とか「向いてない」と言って諦めてしまう人も多い。
子どもたちも野球や囲碁、将棋などを気軽にできなくなった。上手くなければ、上達しなければ意味がないと考える風潮が強くなっている。
子どもにしてみたらちょっとした思いつきでキャッチボールをしたいだけなのだが、今は近くの公園や路上での遊びも細かく制限されており、ボールを使う遊びが禁止されていることも多い。
それでもキャッチボールをしたいと駄々をこねると、「野球をしたいなら正式なチームに入るしかない。お前にその覚悟はあるのか?」などと極端に話になりかねない。
家で将棋をしたくても相手がいない。回り将棋の相手さえなかなか見つからない。こちらも野球同様に「将棋をしたいなら道場に入るしかない。才能でもあるのか?」などと言われそうである。
やるのなら公式のチームや道場に所属するしかなさそうだが、入ったならその時の気分で練習や活動を休むわけにはいかなくなる。
何かやろうとしても、お金がかかったり自由にできなかったり、上級者ばかりで楽しめる雰囲気でなかったり。そんなこんなでがっかりしてやめてしまう子も少なくない。
最近は、遊び心や趣味が私たちの日常から離れてしまっているが、野球もサッカーも囲碁も将棋も絵画も書道も、本来は純粋に楽しいものであったはずである。

上手いとか下手だとか才能があるとかないとか以前に、遊び心自体をみんなで大切にしたいものである。
子どもたちのためにも、誰もが純粋な気持ちで気軽に遊びを楽しめる環境を取り戻していきたい。