北海道に先住していたアイヌ民族の伝統的住居を「チセ」という。

今、チセを作っている人がいて、私も時々作業に参加している。
縄文の精神文化を色濃く引き継いできたアイヌ民族にとって、大自然と共生する精神はもっとも基本的なことであり、何気ない生活の隅々にも祈りの習慣が根づいている。
チセを建てる際も地鎮祭に始まり、材料となる木を切る前に祈り、出来上がればチセコロカムイ(家の守り神)に魂を込める儀式(チセノミ)を行う。
大自然への感謝と畏敬の念がそこにある。
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バイク乗りは気圧や気温の変化に敏感だが、時々不思議な感覚に包まれることがある。いつも誰かに見られているような。
「今、何かに守られているな。」と感じることもあれば、「気をつけないと痛い目に遭う。」と直感することもある。
旅を重ねるほどに、大地、大気、水、動植物、その他諸々の、私を支え包み込むすべてと対話をしている感覚が強くなっている。
カムイは「神」と訳されることが多いが、私の解釈だと「大自然」と言う方が近い。